【橋本コラム】『思考力の行く末』2017年12月

  • 2017.12.13

先日、休みをいただき、山へ行きました。テントを張りながら丹沢の山々を渡り歩く、2泊3日の行程です。とはいえ、私がキャンプをするようになったのは最近で、山といえば富士山か高尾山しか行ったことのなかった素人です。しかし、「生きる力は不便さの中でしか養われないのでは」という思いつきが、山へ向かうきっかけになりました。

山へ行くと、様々な不便があります。まず、重い荷物。日帰りならば、荷物も少なく移動時間も短いため、どうということはないのですが、キャンプ泊となると、テント、寝袋、マット、食料、と荷物は増えていきますし、日中はそれを全て背負って歩き通すことになります。準備の段階で本当に必要なものだけを選び抜いて、重さや形を考えてパッキングしなくてはなりません。その結果、バックパックが無駄に重くなったとしても、全ての責任は文字通り自分で背負うことになります。だからこそ、鍋を食器に、上着を枕に、など道具の使い方をイメージして、物を減らす工夫をします。

また、水も大きな問題です。非常にシンプルなことですが、山の上には、水がありません。しかし、水分補給や煮炊き、洗い物や洗顔などの生活水としても、山で水を使う機会は多々あります。水を切らさないように、いつも残量を気にして使い、水を補給できるようにルートを決める必要があります。それでも、目当てにしていた沢に行ってみると涸れていた、ということもあります。水を無駄なく使うために、先にラーメンを作り、残ったスープでご飯を炊いて行動食にしておく、など料理の順番も考えて行うことになります。

山へ行くことで、こうした工夫は、不便さを前にすると、自然に生まれるものだと感じるようになりました。「必要は発明の母」とも言われるように、何の不便もないところには、問題意識や工夫が生まれにくいのではないでしょうか。

我々の日常に視点を戻すと、生活の中の不便をいかに無くすかが、社会の共通の目標であるように思います。それに異論はなく、昔の方が良かったと言うつもりもないのですが、便利な世の中だからこそ、不便は逆に貴重なのかもしれません。とりわけ教育にとっては、不便は教材なのではないかと思います。

花まるで毎回行うなぞぺーは、思考力を鍛える教材です。今回の山登りを通して、これは効果的な思考訓練だなと改めて思いました。「パッキングは図形分けの問題だな」「ルート決めは場合分けの問題だな」と、山でも同じように頭を使うシーンがあったからです。いま子どもたちが鍛えているこの力が、将来どんな状況で花開いていくのか、楽しみにしています。子どもたちが我先に「できたー!」と花まるをせがむ姿に、にやりとしながら。

橋本一馬
辻堂教室 水曜日・木曜日 担当

花まる学習会ホームページ

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