【橋本コラム】『その言葉に想像力はあるか』2018年4月

  • 2018.04.18

疑似体験、がテーマの社内研修に参加しました。
花まる学習会の療育支援部門が企画した、聞くことや書くことに不自由さを感じている子どもたちの気持ちを体感する研修です。
子どもの気持ちに接近し、今までの自分の行動を振り返る機会を得ることができました。
子育てのヒントにもなるのではないかと思い、今回はその研修を通して感じたことをご紹介いたします。

『聞く』という疑似体験では、まず裏返しにしたプリントが目の前に置かれ、指示が出されます。
「手は膝の上に置いて、足は揃えて、スタートと言われるまで動かないでください」「メモを取ってはいけません。指示は一度で聞いてください」「表の左側の数字と同じマスを右側の表から探して黒の鉛筆で塗り、問題数が半分を過ぎたら赤の鉛筆に持ち替えて…」というとても長い指示なのですが、不動の姿勢でそれを聞き続けた後、スタートの合図で一斉に指示された作業に入ります。
しかし、作業が指示通りでないと、監督者から間違いを指摘され、高圧的に指導されるのです。
制限時間が来て作業から解放されると、思わず安堵のため息が漏れてしまうほどの閉塞感がありました。
結局、私は既定の作業量を達成できず、できたところも本当にそのやり方で合っているのか不安なまま中途半端で終わり、「もういいや」という状態です。
その後、各グループで「どんな気持ちだったか」「どんな配慮があるといいか」を話し合いました。

もちろん、これらの不親切は意図的に仕掛けられたもので、通常の授業では考えられません。
しかし、大人用のレベルになっているものの「鉛筆を置いて手はお膝」「一度で聞く」など、日ごろ授業で子どもたちに伝えているものと基本的に指示内容は同じです。
この疑似体験を通して、子どもたちが感じるであろう、間違えたら怒られないかという不安、能力的にできないことに対するもどかしさ、分かって欲しい・味方になって欲しい、という誰かに頼りたくなるような気持ちを感じることができました。
それは同時に、日ごろ私が子どもたちにかけている言葉が、そうした気持ちに寄り添ったものだったのかという問いかけに変わっていきます。
一度の指示の量を減らすことや、明らかに無理な目標を設定しないこと、お手本を見せること、必要ならば大人が一緒にやってあげること、プラスの言葉をかけること、できたところを見逃さずに認めること、今やっていることの目的を伝えることなどで、解決できる課題があるかもしれないと感じました。
「できないことは全部やってあげる」と甘やかすわけではなく、「これくらいできるはず」と求め過ぎるわけではなく、「目の前のその子」の気持ちを想像して寄り添えるか。
子どもへかける言葉のひとつひとつに、想像力が不可欠なのだな、と感じた今回の研修でした。

橋本一馬
辻堂教室 水曜日・木曜日 担当

花まる学習会辻堂教室

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